「仕事に疲れた」「もう辞めたい」と思っているのに、決める気力も残っていない。そんな状態でこの記事を開いた方もいると思います。
私はWEB系の事業責任者として300名以上の採用面接に携わり、管理職として部下の相談にも乗ってきました。この記事では、今の自分が限界なのかを確かめる方法と、休む・辞めるを判断する順番、休むときや辞めるときに使える制度までをまとめています。
限界とまではいかないものの、仕事に行きたくない気持ちが続いている方は、「仕事に行きたくない時の対処法」で原因の整理の仕方と次の行動を解説しています。
疲れたらまず休む 辞めるかはその後で決める
疲れ切っているときは、辞めるかどうかを決める前に、まず休むことを優先してください。
心と体が疲れているときは、物事を悲観的に考えやすく、冷静な判断がしにくくなります。少し回復してから判断した方が、後悔の少ない選択ができます。
- まず、自分が限界かどうかを確かめる
- 限界が近いなら、有給休暇や休職でまず休む
- 回復してから、疲れの原因に合った選択肢を選ぶ
「仕事を辞める」だけじゃない今のあなたに用意されている選択肢
「仕事に疲れた」と思ったとき、「辞める」か「このまま続ける」が頭に思い浮かぶと思いますが、実際にはいくつもの選択肢があります。
- 部署異動・配置転換を相談する
- 会社の制度を確認する
- 自分の仕事の進め方を見直す
- 休職する
- 転職する
- すぐに退職する
大切なのは、いきなり「辞める」か「続ける」かを決めることではありません。それぞれの選択肢の先に、どんな未来があるのかを、自分の状態と環境から見極めることです。
次の章では、あなたの状態と原因から、どの選択肢が合っているのかを診断していきます。
あなたの状態と原因からわかる正しい選択診断
選択肢がわかったら、自分の状態と環境からどれが合っているのかを診断していきます。「限界度」と「原因」の組み合わせで、あなたに合った選択肢が見えてきます。
診断1:あなたの限界度
まず、次の項目に当てはまる場合は、他のチェックを待たず、退職・休職を含めて今の環境から離れることを最優先に検討してください。
特に「消えたい」「死にたい」という考えが浮かぶときは、一人で抱え込まず、今日のうちに医療機関や相談窓口に相談してください。厚生労働省の働く人向けのサイト「こころの耳」では、電話やSNSで相談できる窓口が紹介されています。
上記に当てはまらない場合は、以下のチェックで自分の状態を確認してみてください。
体調面
思考面
行動面
チェックの数の目安
診断2:あなたが限界を迎えている原因
まず、次の項目に当てはまる場合は、原因タイプの判定を待たず、退職を最優先に検討してください。
上記に当てはまらない場合は、次のうち最も当てはまるものを選んでください。
- 人間関係型→上司・同僚との関係など、特定の人間関係が辛さの中心になっている
- 業務量・働き方型→残業時間、休日出勤、仕事量そのものの多さが辛さの中心になっている
- 構造型→給与、評価制度、仕事内容そのものへのやりがいのなさなど、会社の仕組みや業務内容そのものが辛さの中心になっている
- 自己要因型→抱え込みすぎる、断れない、優先順位付けが苦手など、自分の仕事の進め方が辛さを増幅させている
診断結果:あなたが選ぶべき選択肢
診断1の例外項目に当てはまる場合は、まず休むことと受診を優先してください。診断2の例外項目(暴力や人格を否定する言葉)に当てはまる場合は、表に関わらず、すぐにその環境から離れることを考えてください(自分で言い出せないときは退職代行の利用も選択肢です)。それ以外の場合は、限界度と原因タイプの組み合わせで選択肢が決まります。
| 限界度 | 原因タイプ | あなたが選ぶべき選択肢 |
|---|---|---|
| 余力あり | 人間関係型 | 部署異動・配置転換を相談する |
| 余力あり | 業務量・働き方型 | 会社の制度を確認する |
| 余力あり | 構造型 | 転職する |
| 余力あり | 自己要因型 | 自分の仕事の進め方を見直す |
| 限界が近い | 人間関係型 | 部署異動・配置転換を相談する |
| 限界が近い | 業務量・働き方型 | 休職する |
| 限界が近い | 構造型 | 転職する |
| 限界が近い | 自己要因型 | 自分の仕事の進め方を見直す |
| 限界 | 問わず | まず休む(休職・受診)。回復してから退職も含めて考える |
診断結果が出たら、このあとの「診断結果別 今日から歩める最初の一歩」で、選んだ道ごとの具体的な動き方を確認しましょう。
仕事を辞めるべきかの判断基準は、こちらで解説しています。

辞めたい気持ちはあるのに不安で動けない場合の対処法も、上の記事で解説しています。
【診断結果別】今日から歩める最初の一歩
診断結果から自分が進むべき道を決めたなら、あとは実際に動き出すだけです。それぞれの選択肢ごとに、まず何から始めればいいのかを見ていきましょう。
部署異動・配置転換を選んだ人|まず誰にどう相談するか
異動を相談する場合、いきなり人事に申し出るのではなく、まずは直属の上司に相談するのが基本です。ただし、原因が上司自身にある場合は、人事や、社内に相談窓口を頼るほうが適切です。
私が管理職をしていたときも、部下から業務量や人間関係の相談を受けたら、業務量の調整や役割分担の見直し、人の配置の変更で対応していました。会社側は、相談されて初めて動けることも多いです。遠慮せずに伝えてみてください。
相談時には、感情的な訴えだけでなく「なぜ異動を希望するのか」「異動先でどう貢献できるか」を整理しておくと、話が通りやすくなります。希望する部署が明確にある場合は伝え、ない場合は「今の業務内容から離れたい」という事実だけでも伝える価値はあります。
異動の相談が通らない、または時間がかかりすぎる場合は、並行して休職や転職も視野に入れておくと、選択肢を失わずに済みます。
会社の制度を確認する人へ|何をどこで確認するか
まず確認すべきは、就業規則や社内ポータルに記載されている制度です。時短勤務、フレックスタイム、リモートワークなど、名称だけでも把握しておくと、人事への相談がスムーズになります。
制度が明文化されていない、または規則を読んでもよく分からない場合は、人事に問い合わせて構いません。「制度を使いたい」という前提で聞くのではなく、「どんな働き方の選択肢があるか」を確認する形で聞くと、話を切り出しやすくなります。
制度を利用する場合は、上司の承認と人事への申請が必要になるのが一般的です。申請から適用までにどのくらいの期間がかかるかも、あわせて確認しておくと見通しが立てやすくなります。
自分の仕事の進め方を見直す人へ|何から着手するか
環境そのものではなく、自分の仕事の進め方に見直しの余地がある場合、着手しやすいのはタスクの抱え込みを減らすことです。断れずに引き受けてしまっている業務がないか、一度洗い出してみましょう。
優先順位のつけ方に自信がない場合は、上司や先輩に「今抱えているタスクの優先順位が合っているか」を確認してもらうだけでも、負担の感じ方が変わることがあります。
見直しを重ねても辛さが変わらない場合は、原因が自分の進め方だけではない可能性があります。その場合は、異動や転職など、環境側を変える選択肢に切り替えて構いません。
休職を選んだ人へ|手続きと診断書の取り方
休職は、単に会社を休むことではありません。限界を迎えてから慌てて動くのではなく、その手前で一度立ち止まり、休息を取りながら「このまま復職するか、異動や転職を考えるか」を落ち着いて判断するための期間です。
休職を申し出るには、多くの場合、医師の診断書が必要です。心療内科や精神科を受診し、今の状態と休養の必要性を伝えた上で、診断書の発行を依頼しましょう。
診断書が準備できたら、上司または人事に休職の意向を伝えます。休職中は給与が支払われないケースが多いですが、健康保険から傷病手当金を受け取れる場合があるため、あわせて確認しておくと安心です。
復職するか、退職するかを焦らず考えられる状態にしておくことが、休職期間を有効に使うポイントです。
転職を選んだ人へ|在職中に何から始めるか
転職は、在職中に動き始めるのが基本です。収入が途切れる不安を抱えたまま活動すると、焦りから妥協した転職先を選んでしまうリスクがあるためです。
最初にやるべきことは、今の職場で何が辛かったのかを整理する自己分析です。同じ辛さを繰り返さない転職先を選ぶための土台になります。整理ができたら、転職エージェントへの登録や求人サイトでの情報収集を始めましょう。
転職先が決まってから退職を伝えるまでの動き方次第で、円満に退職できるかどうかが変わってきます。
すぐに退職する人へ|次を決めずに離れる場合の進め方
心身の限界が近く、次を決める余裕がない場合は、まず今の環境から離れることを最優先してください。転職活動と違い、退職を先に決めてから次を考える動き方になります。
自分で退職を伝えられる状態か、それが難しい状態かを見極めましょう。上司との対話に強い抵抗がなければ、就業規則で定められた期限までに、直属の上司に口頭で退職の意思を伝えます。
上司と顔を合わせること自体がつらい、または心身の不調が強い場合は、退職代行の利用も選択肢に入ります。代行を使えば、直接やり取りをせずに退職手続きを進められます。次を決めていない不安はあると思いますが、心身の安全を確保することを優先してください。
- 部署異動・配置転換を選んだ人|まず誰にどう相談するか
- 会社の制度を確認する人へ|何をどこで確認するか
- 自分の仕事の進め方を見直す人へ|何から着手するか
- 休職を選んだ人へ|手続きと診断書の取り方
- 転職を選んだ人へ|在職中に何から始めるか
休むときに使える制度とお金
有給休暇で休む
有給休暇は、働く人が使える権利です。数日でも仕事から離れると、疲れの度合いや、自分が本当に辞めたいのかを落ち着いて考えやすくなります。
休職する
休職の制度は法律で一律に決まっているものではなく、会社ごとに条件が違います。就業規則で、休職できる期間や必要な書類(医師の診断書など)を確かめてください。
休んでいる間の収入は傷病手当金で補える
会社の健康保険に入っている人が、病気やけがの療養のために仕事を休み、給与が受けられない場合は、健康保険から傷病手当金が支給されます。協会けんぽの場合の主な内容は次のとおりです。
- 連続して3日休んだあと、4日目から支給される
- 1日あたりの金額は、標準報酬日額のおよそ3分の2
- 支給開始日から通算して1年6か月まで受け取れる
健康保険組合に入っている場合は内容が異なることがあるので、加入している健康保険で確かめてください。
辞めると決めたら
休んでも回復しない、原因が今の会社では解決しないと分かったら、辞める準備に進みます。
辞めたあとのお金を確かめておく
自己都合で退職した場合、失業保険(雇用保険の基本手当)には、受け取れるまでの給付制限期間があります。厚生労働省・ハローワークの案内によると、令和7年4月1日以降に退職した人の給付制限は原則1か月です。教育訓練を受けている場合などは、給付制限がなくなることもあります。
受け取れる条件や金額は「失業保険の自己都合のもらい方」で解説しています。
辞め方に迷ったら
- 会社への伝え方:仕事を辞めたい人向け伝え方マニュアル
- 自分では言い出せないとき:退職代行の選び方
- 次を決めずに辞めるか迷っているとき:仕事を辞めてから転職活動をしても大丈夫?
- 退職後の手続き:退職後の手続き一覧
疲れて辞めたことを面接でどう伝えるか
疲れて辞めたこと自体を、無理に隠す必要はありません。ただ、採用する側が何を確かめたいのかを知っておくと、落ち着いて答えられます。
私が面接官をしていたとき、心身の不調が理由で前の会社を辞めた応募者には、今は無理なく働ける状態か、入社後も安定して働き続けられそうかを慎重に確かめていました。入社後に再び体調を崩してしまうことは、本人にとっても会社にとっても一番つらいことだからです。
面接では、詳しい事情より「今は回復して働ける状態であること」と「同じ状況にならないために何を変えたか」を、自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう。
たとえば、業務量の多さで疲れたなら「仕事を一人で抱え込まず、早めに相談するようにした」、働き方が合わなかったなら「次は残業時間や休日の取りやすさを確かめて応募先を選んでいる」といった伝え方です。
無料の診断(1分ほど)
まだ迷っているなら、1分の質問で整理する
疲れて辞めたいときほど、疲れの原因が自分の行動で減らせるものかを整理すると、次の一手が見えてきます。元採用責任者の視点で作った診断に答えると、今動くべきか、まだ今の職場で試せることがあるかがわかります。
転職すべきか診断を受けるよくある質問
Q. 診断結果と実際の気持ちが違う場合はどうすればいい?
A. 診断はあくまで、限界度と原因を客観的に整理するための目安です。診断結果と実際の気持ちにズレを感じる場合は、無理に結果に従う必要はありません。特に、診断結果より重い選択肢(例:結果は「異動」だが、実際は辞めたい気持ちが強い)を望む場合は、その気持ちを優先して構いません。逆に、診断結果より軽い行動を試したい場合も、まずはそちらから始めてみて、状況が変わらなければ診断結果の選択肢に戻る、という進め方で問題ありません。
Q. 「疲れた」「辞めたい」と感じるのは甘えですか?
A. 甘えではありません。仕事に疲れる、辞めたいと感じることは、今の環境や働き方が自分に合っていないサインであることがほとんどです。厚生労働省の調査でも、多くの人が人間関係や仕事量を理由に強いストレスを感じていることが分かっており、特別なことでも珍しいことでもありません。「甘えかどうか」を自分に問う前に、まずはこの記事の診断で、今の状態を客観的に確認してみてください。
Q. 自分の仕事の進め方を見直しても辛さが変わらない場合はどうすればいい?
A. 一定期間(2週間〜1ヶ月程度)見直しを続けても状態が変わらない場合、原因は自分の進め方だけではなく、業務量や人間関係など環境側にある可能性があります。その場合は、診断結果の他の選択肢(異動・休職・転職など)に切り替えて構いません。自己要因型は「まず自分でできることから試す」段階であり、それでも改善しなければ環境を変える判断に進むのが自然な流れです。
Q. 入社したばかりで「疲れた」と感じています。この記事は当てはまりますか?
A. 入社直後の疲れは、環境に慣れていないことによる一時的なものであるケースが多く、この記事で扱う「限界のサイン」とは性質が異なる場合があります。まずは数週間〜1ヶ月ほど様子を見て、それでも改善しない、あるいは強い不調が続く場合は、この記事の診断を参考にしてください。
Q. 退職代行を使っても問題ないですか?
A. 問題ありません。退職代行は、法律で認められた「退職の意思表示」を本人に代わって会社に伝えるサービスであり、利用すること自体に法的な問題はありません。ただし、未払い残業代の請求など、会社との交渉が必要になる場合は、交渉権のある労働組合運営または弁護士運営の退職代行を選ぶ必要があります。単に退職の意思を伝えるだけであれば、民間運営の退職代行でも対応可能です。
まとめ
この記事では、「仕事を辞めるべきか」を自分の言葉で判断できる状態を目指してきました。
決断できなかった理由は、辞めた未来と続けた場合の未来、どちらも見えていなかったからです。診断を通じて自分の限界度と原因を整理したことで、その未来の解像度は上がったはずです。
選択肢は退職だけではありません。異動、制度の確認、自分の仕事の進め方の見直し、休職、転職、そしてすぐに退職すること。それぞれの道に、あなた自身が納得できる未来があります。
診断結果で見えた最初の一歩から、今日、動き出してみてください。



